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2019年5月30日木曜日

スールやエスやベェゼって知っていますか? -百合の世界にも洒落た名称の概念があるんです。-

はじめに

以前、「ほとんど百合」という概念 -「ほとんど」なんとか -について紹介しました。

今回は、同じテーマの「百合」に関連して「スール」、「エス」、「ベェゼ」という言葉の概念について紹介します。一見すると結構洒落た名前が付与されている百合用語ですので、興味を持っていただけると思います。

数学に興味のある人は今回の記事を書くにあたって触発された「友愛数や婚約数や社交数って知っていますか-数学の世界にも洒落た名称の概念があるんです-」もオススメしておきます。

スールとは

「スール(soeur)」と言われると、一体どんな洋服なんだろうと思われるかもしれませんが、その定義は「学園において異なる学年の組で、上級生のお姉さまと下級生が、互いに親しくなり、姉妹の契りを交わす。もしくはすれに準ずる状態」のことを言います。「百合カップリング」のうちのひとつです。

スールの歴史

現代日本の百合学派は、アニメ作品【マリア様がみてる】からスール制度の存在を認識していたとされていますが、他にもアニメ作品【ストロベリー・パニック】にも見出されています。

また、あまり知られておりませんが、その後、「百合クラスタ」と呼ばれる熱心な百合信奉者達よって、スールによく似たエンジェル制度がアニメだけならず実在する学校の中でも発見されました。

このように、スールについては、熱心な百合学者によって発見されていましたが、大変興味深いのはすべての学者たちの意見が一致するわけではなく「ほとんど百合」に近い「ほとんどスール」とでも言うべき現象が散見されているということです。

インターネット、ソーシャルメディアの発達によって百合クラスタの発言はより集めやすくなっていて様々な意見の相違やあらたなスールもしくはそれに準ずるものの研究成果をより身近に感じることができる様になっています。
その一方で筆者は自らスール制度を感じて見出す喜びが失われてしまうかもしれないという点について少し寂しさも感じてしまっています。



スールの未解決問題

スールについて、例えば「スールは無数に存在するのか、それとも有限なのか」「学年の同じスールの組み合わせは存在するのか」といった問題があります。

これらの問題について、誰にでも簡単に理解できる極めてシンプルな問いであるように感じるかもしれませんが未解決なままです。

エスまたはシスとは

「エス(S)」とは、「Sisterからとられた隠語で異なる 2人の女学生もしくは女性の組み合わせが、互いに他方と親しくなるような状態」のことを言います。その他に「シス」とも呼ばれることがあります。

より広義な百合用語と言えますが主に戦前の女学院などで起こったもしくは起こり得たロマンティックかつ叙情的な美意識および独特な環境下で生まれた文学や現象を指すものとして用いられるものです。

エスの歴史

戦前の日本および海外において現在異なる百合の流れが見られたことがあり、そこにエスの源流を見ることができます。
彼女たちのリアルな百合は後世である現代の百合ブーム及びそれによって生まれた百合作品や百合クラスタにより「再発見」され百合作品への影響を与えています。

ベェゼとは

フランス語で接吻、つまりキスを指す言葉です。これは百合だけではなく全般的に利用されますが前述したとおりエスなど、より叙情的な表現を好む百合作品や百合文化において多く用いられています。

スールやエスやベェゼという言葉が意味するところは

百合文化を体現する言語的表現ともいえるスールやエス、ベェゼは多くの百合クラスタに認められ百合学的地位を確立しています。
どう百合を体現しているのかそれはエスの歴史およびその成立背景をみるとよく分かりやすく同性同士の『強い絆』を表す百合は長い間、激しい非難の的になることがあります。実際に現代で百合ブームを迎えた後もなお、残念ながらすべての人々が熱狂的な百合信奉者となりうることはなく、百合クラスタや百合作品は数多くのジャンル分けのうちのひとつの地位に留まってしまっています。
そのなかでも過去のロマンティックな百合文化への懐古主義的な動きや実際に起こりうる百合、ファンタジーとしての百合そのほか多くの要素はこれらのより叙情的かつロマンティックな表現である。スールやエスやベェゼといった言葉と親和性が高いのです。
つまり百合の性質を表すものとしてこれらの言葉を用いることができますし、これらの言葉が百合というものを映し出しているとも言えるのです。

まとめ

百合はいろいろと面白い性格を有していて興味深いものだと再確認されたと思います。過去の百合作者や百合学者の洒落ていてなおかつ叙情的な言葉使いにも感心させられます。

百合の世界は興味・関心を広げていくと尽きない無限の可能性を秘めています。時間があるときには百合作品に触れてその世界に浸かってみるのも良いかもしれません。

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