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2019年9月23日月曜日

そして百合は永遠に…

百合は美しい…
しかし人と人の間で生まれるその美しき光は儚く一瞬で瞬く間に消えてしまうのです。私達はそんな百合の光の美しき明滅を目の当たりにしているのですがそれは眩しく私達を照らし導く光でありながらもその光が消えるたびに私達はとてつもない悲しみと向き合わなければなりません。
そうやって次から次へと新天地を求めて私達は旅を続けてあらたな大陸を見つけました。
そこには私達が求め続けていた「永遠の」百合の可能性があるのです。


人間の少女・天野灯はひょんなことからソフィー・トワイライトという吸血鬼の女の子に助けられ、一目でソフィーを気に入ってしまう。灯は彼女の家に押し掛け、半ば強引に同居を始めることになる。ソフィーは吸血鬼だが、人間を襲うようなことはなく、通販で血液や趣味のアニメグッズを購入している現代的で庶民的な生活をしていた。イマドキ吸血鬼さんとの同居コメディ!

となりの吸血鬼さん(公式サイト


今回紹介する「となりの吸血鬼さん」は30分枠の日常系百合作品だ。
原作は漫画で執筆時点で1~5巻が発売中で公式アンソロジーも発売中なのでそちらも興味がある人はチェックしてみてほしい。
今作は放送期間毎に1枠はある日常枠のうちの一角としても楽しめるがあくまで魅力のうちのひとつにすぎず、今作の最大の魅力は「百合要素」にあると言える。
それを裏付ける様に今作を「百合作品」と呼ぶ者も多く、本作は日常系作品に多く見られる、百合の可能性が見いだされた結果呼ばれる「ほとんど」百合作品ではなく、ガチ百合作品といって間違いないだろう。



ストーリーは吸血鬼のソフィーちゃんと人間の女子高生である灯(あかり)ちゃんが出会ってから百合百合しく日常を過ごす様が1年に渡って繰り広げられる様子を要所要所で描いている作品となっていて、なぜ、ソフィーちゃんが吸血鬼となったのかや吸血鬼とはなにかなどにはそれほど掘り下げることなく一般的知識レベルでネタにする程度に留まっており、本作には「物語の核心」なるものは存在しない。
これについてどう判断するのかは人それぞれだが、そもそも「ほとんどの日常枠作品に物語などないに等しい」という今までの流れを顧みてみればさほど問題ではなく、むしろストーリーに関する描写の分まで日常パートに力を割り振っているのは好感触といえる。

それに加えて吸血鬼要素がよく織り込まれているのが本作が他作品と違う点で、なおかつ、今作を面白く盛り上げててくれている点なので着目してみてほしい。
それほどマニアックな内容が入るわけでもなく、重い描写もないが、吸血鬼要素をうまく組み込んでいるおかげで、いまとなっては溢れかえっているただの日常作品とは違う新鮮な気持ちで視聴できるしギャグテイストに演出された吸血鬼ネタが至るところに散りばめられている今作は「どうせただの日常系でしょ?もうお腹いっぱいだよ…」とたかをくくる人にも是非とも食わず嫌いせずに見てみてほしい作品と言える。


*なんとなく血液型占いの流れを汲んだ様な説明書きがラベルにかかれている血液瓶だがその血液型占いでDisられ続けてきたB型が「おいしい」と書かれているのはきっとプロデューサーか作者か偉い人にB型がいて忖度があったのか、そのまま書いたら行かれるB型民にヤられるかもしれないという恐怖心から無難な言葉が選ばれたのだろう。

いままででレビューを公開してきた作品のなかで最も近い作品としてはガヴリールドロップアウトを挙げられる。あの作品は私が知る限りでは概ね高評価を得ているので今作にも楽しみを見いだせると信じている。

一般的な見地からしても良作であるといえる「となりの吸血鬼さん」だがその真価は百合要素にあるといって間違いない。
吸血鬼と人間の女の子の百合要素に、主人公の通う学校のクラスメイトの百合まで様々な登場キャラクターすべてにカップリングの余地が与えられる今作を称賛せずにいられるだろうか。

しかも、あからさまに百合であることが当然であるところからスタートするわけでもなく、主人公であるあかりちゃんの一方的かつ猛烈な好意にボッチ志向のソフィちゃんがほだされていく様子はゆるキャンでしまリンがなでしこちゃんに懐柔されていく様に近く、ソフトかつ見ているものを優しく穏やかな気持ちにさせてくれるタイプの百合であるということも日常系作品の今作と相乗効果で私にとっての本作への評価をさらに押し上げる要因となっているのだ。
まんざらでもなく頬を赤らめるソフィちゃんかわいいよぉ…ハァァァァアア…


百合過激主義志向にも理解と興味を示す筆者にとっては残念なことながら吸血鬼ならではの吸血イベントなどは実際には発生せずあかりの妄想ということで表現されるに留まっている。だがその理由もエモいのでまったく問題なく妄想としてだが更に先の段階を描写しつつもはにかみ青春百合百合を描くアニメを見れることに私は喜びを隠せない。
さらに、今作において吸血鬼はもともと人間でその人間が吸血鬼化したときの容姿を保ったままで歳をとらなくなるという設定があるので最終的にあかりとソフィの関係が発展して永遠の百合展開を夢見る余地も残される神作品となっているということは本作においてかなり重要なポイントと言えるのではないだろうか。



最後に、中盤以降、すこし暴走気味に百合要素について語ってしまったかもしれないが今作が優秀な日常系作品であるということには違いないし、百合要素についても申し分ないということで今作は是非とも視聴をおすすめしたい作品である。
…とまとめた上でソフィちゃんとあかりちゃんが永遠に幸せにお付き合いできることを願って祈りを捧げよう。

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