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2023年12月17日日曜日

百合が揺らぐ。その概念が…

突然ですが百合って良いですよね。

でも百合って言っても一口で表せないほどに細分化されていて…

人によっては百合であったりなかったり、そんな奥深さを秘めているのです。

今回はそんな百合の神秘に迫るアニメの紹介です!!




「ようこそ、カフェ・リーベ女学園へ!」


ここは架空のお嬢様学校。店員同士が姉妹シュヴェスターとなり、清らかに美しく給仕をするサロン。

日頃より誰からも愛されるような振る舞いを心がけている陽芽は、とあるきっかけでリーベ女学園の生徒として給仕をすることに。

そこで出会った女生徒・綾小路美月を何気なく「お姉さま」と呼んでしまい…?


演技ソトヅラと本音が咲き乱れる、お給仕生活はじまります!


私の百合はお仕事です!(公式サイト


今回紹介する「私の百合はお仕事です!」は30分枠の『百合アニメーション』作品だ。

百合と言えばコミック百合姫とまで言えるほどの雑誌・漫画作品が原作のアニメ化作品で、あらすじにもある通りリーベ女学園というお嬢様学校を模したコンセプトカフェで働く女の子達の間で繰り広げられる恋愛模様を描いた作品となっている。

最初は主人公である白木 陽芽(ひめ)ちゃんが、まったくこのカフェ・リーベ女学園とは無縁の存在であったところから物語は始まる。彼女はクラスや同級生から一目置かれる「優しくて人当たりの良い」女子高生だっただが、それは彼女が誰からでも良く見られたいという願望を実現するための『外面』だけを見た評価だった。外面が外れると割と適当な性格で自分が認めた存在以外とは親しくせず、距離を保っていた。

この時点ではその『認めた存在として』矢野 美月(みつき)ちゃんが親しくしていて「大事な友達」として常に仲良くしてきた。みつきちゃんはひめちゃんへの好意を隠しきれないほどに寄せているがひめちゃんはあくまでみつきちゃんを「大事な友達」として扱っているので二人の関係は百合というか友情というかその間で揺れ動くものというか、暗闇で蝋燭に灯された光の様なもので常に揺らいでいて儚いもので大変素晴らしいものだった

物語の冒頭でひめちゃんは街角でカフェ・リーベ女学園の店長のまいさんとぶつかって怪我をさせてしまい、一時的に店を手伝うことになり彼女はカフェの設定である「リーベ女学園」百合を演じる世界に飛び込みそして流れでそのまま店で働くだけでなく店で出会った矢野 美月(みつき)ちゃんと出会い、彼女を「お姉さま」と呼んで彼女と姉妹の契りを結ぶことになる。

この段階ではまさに『ビジネス百合』とでも言ったところだろうか。これも百合…なのだがこの段階ではこれを百合として良いのか釈然としないものとなっている。

だがこの二人、それだけではなかった。出会った当時のひめちゃんは気付いていなかったが彼女とみつきちゃんの間には過去からの確執があった。そしてそれが明らかになった上で誤解?が解けて仲直りというかむしろそれ以上に打ち解け合って「大事な友達」以上の「親友以上恋人未満」のような関係に発展する。

彼女たちがビジネス百合関係だった頃には「外面」も姉妹の関係も嘘だらけでむしろお互いに相手を悪い方向ではあるが意識しあっている、ある意味で「むしろ百合?」な関係だっただけにその温度差の変化とそれによる化学反応はとてつもないものだった。

一方その頃「大事な友達」だったみつきちゃんはヤンデレ化していく。その光景もまた新たな百合の形だと言えよう。

そして今度はそんなみつきちゃんを気にかけるカフェの同僚の知花 純加(すみか)ちゃんがそんなヤンデレ化するゆつきちゃんと恋愛の末に居場所であるカフェの人間関係が壊れてしまう事を心配して声をかける事になり、その心配が心配以上の気持ちに発展することによってすみかちゃんはゆつきちゃんに対して特別に思いやる気持ちを、そしてゆつきちゃんはヤンデレ化するほどにひめちゃんが「唯一」の大切な相手だったのにすみかちゃんに対しても心を寄せて行く。

もういったいどうなってしまったのだろうか。ありとあらゆる場所で百合の光が明滅している。本作はまさに百合の宇宙空間なのだ。百合の星が生み出されて輝いては消えて、また光り輝いて行く。

そして同時に本作は哲学的な問いを問いかけてくる。「いったいなにが百合で百合でないのか」と。「ビジネス百合は?ただの友情と百合の境界は?」など本作は常に私を揺さぶり続けてきた。こうして百合は揺らいで行く。そして百合という概念はより洗練されたなにかに変化して行くのだろう。

リーベ女学園を通して、彼女たちの絡み合う想いと思惑とすれ違い。そんなものを垣間見ることが出来る本作をぜひともご覧あれ。

それではごきげんよう。

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