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2020年3月25日水曜日

愛の成分の内訳…

なんとかの成分の半分はやさしさでできているなんて言葉がありますが、この世界にあふれる「愛」はどんな成分で構成されていると思いますか?
今回はそんな人類共通の謎に迫ることのできるラブコメ作品の紹介です。


幼なじみのあっくんとのんたんは恋人同士。
だけど、あっくんはのんたんに対して、
罵詈雑言を浴びせて冷たくあしらい、
なんだかいつもキツい態度……。

でもそれはあっくんの「のんたん大好き!」な気持ちの裏返しなのです。
あっくんと、そんな彼の振る舞いをまったく気にせず
“あっくんラブ”なのんたんとの日々を描く、学園青春ラブコメディ。

あっくんとカノジョ(公式サイト


今回紹介する「あっくんとカノジョ」は5分枠の学園青春ラブコメディだ。5分という時間の制約の中でどう視聴者に印象を残して行くのかという点において非常に優れたアニメと言えるだろう。
そしてこのアニメはラブコメとしても良く出来ているし、考え方次第では「愛」とは何かについて深く考えるきっかけを与えてくれるのだ。

5分枠にありがちな作画や演出のチープさはあまり見受けられなかった。当然、本作を視聴したときには連続していくつもの放送回を見ているのだが「クソアニメ特有の」苦痛を感じることはなかったし、このまま30分枠に格上げしても問題ないレベルの作品といえる。


本作の全体を通したストーリーはツンデレのツンもデレも行き過ぎた彼氏である「あっくん」こと敦大くんとそのツンもデレも全肯定しすべてを受け止めた上で無限大の愛を供給する「のんたん」ことのんちゃんの恋路を追いかける内容となっている。

ラブコメのなかではかなり展開が軽い部類で三角関係など気分が沈む様なイベントは発生せず、他のサブキャラなども登場するがそれらにはまた独自のカップリングが存在していてそれらが互いに干渉することはないのでギスギスしたり暗くなったりすることなく穏やかな気持ちで鑑賞することができるアニメだ。



そういう訳でサクッと鑑賞できる作品でもあるが登場キャラクター、その中でも特に主人公格である「あっくん」と「のんたん」の2人に焦点をあわせると少し変わった印象を持つことができるだろう。

まず、あっくんだがあっくんはツンデレのかなりツン要素が強いキャラクターとして描かれているのだが、付き合っているカノジョの「のんたん」に対しても照れ隠しにしても酷すぎるほどの暴言を吐き捨てるのだが、その裏返しとしてカノジョであるのんたんに対しての猛烈な執着を見せていて、ツンで突き放して距離をとってから盗聴や盗撮といったストーカー行為に及ぶという奇行に走っている。そして部屋の壁、そして天井全面に貼り尽くされたのんたんの写真を見て視聴者はその狂気に触れることができる。


そして、つづいてそのカノジョであるのんたんだが、彼女自身の行動には特段何も問題ないのだが、明らかに行き過ぎた暴言をはかれたり突き放されてもなお「あっくん」を愛するその全肯定かつ無限大の「あっくん愛」は人智を超えるなにかを感じる。
彼氏のどんなマイナス面でも圧倒的な肯定力で常に包み込み続けてそして圧倒的な愛情を発信するその様は、まるで特異点に常に無限大の質量を吸い込み続けてその一方で高出力のジェットを噴出するブラックホールそのものの様だ。私はこの人智を超えた存在に恐怖を感じた。カノジョの目に光が少なくその漆黒の目に吸い込まれたら戻れなくなりそうな気持ちになるのもあながち間違いではないのではないか。


そんな2人の絡みを見て、そして、今までみたラブコメの中で印象深くなおかつ深く結ばれていたカップルを思い返してみると共通するものが見えてくる。
それは「狂気」「恐怖を感じる深淵」だ。
愛は知れば知るほどに深い。きっとそれは見方次第では狂気と恐怖にあふれているものであり、だからこそ一言では言い表せないものとなっているのであろう。

クオリティも高く、どことなく狂気や恐怖にも触れることのできる「ラブコメ」はそう多くない。その点においてぜひ視聴してみてほしい作品だ。

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