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2020年2月21日金曜日

ニートがしなきゃいけないこと!!

皆さんはなにをしていますか?そして皆さんは人の死についてそして死んで亡くなっていった人々の想いについて考えてみたことはあるでしょうか?
仕事も死も身近にありますがその一方で意識することは少ないものです。今回はそんな2つの要素に少し光をあててくれる作品を紹介いたします。


情けなくておかしくて、だけどほんの少し勇気が出るニートディーン・ストーリー。

とある雑居ビルの308号室。
その部屋の扉にはこう書かれている。

《NEET探偵事務所》
It's the only NEET thing to do.

そこを根城とするのは自らを"ニート探偵"と呼ぶ少女・アリス。
部屋から出ないひきこもりで、ネットを駆使して真実を暴き出し、事件を解決する。
そのもとに集うのは16歳の高校生ナルミとニート探偵団
多くの人にはどうでもよくて
でもほんの少しの人にとってはかけがえのない事件。
これはそんな事件をめぐる、ちっぽけだけど温かな物語。

神様のメモ帳(公式サイト


今回紹介する『神様のメモ帳』は原作がライトノベルの30分枠のミステリーアニメとなっている。ミステリーアニメとここで取り上げるとさぞかしクソアニメの方向で「ミステリー」と揶揄しているように感じてしまうかもしれないがそんなことはなく、文字通り推理小説の様な展開を取り扱うアニメであるということを説明しておきたい。
クリオネの灯りや過去のいくつかのアニメ語りタグの投稿でも言及しているがクソアニメではそのクソさにミステリー(謎)を感じるよりもホラー(恐怖)を感じるということも合わせて説明しておこう。

あらすじにもある通りよくある都心の繁華街に近い位置にある雑居ビルに住まい、「NEET」探偵として数々の「NEET」たちとたむろする者たちとなんの偶然か、はたまた運命のめぐり合わせかで地味で目立たない高校生、今作の主人公でもある藤島 鳴海くんが交わり、そして共に数々の事件に対面し解決して行くというストーリー展開となっている。


「NEET」云々は置いておいて、アニメとしてそして推理モノとしても珍しい題材を取り上げる作品として今作の注目ポイントとして挙げられるのは事件の原因や関係者に暴力団ヤクザの様な所謂「反社会的勢力」が絡んでくることだろう。
そしてさらにそれぞれの事件の動機などにもよくある嫉妬や金ではなくもっと人間の根本的な(歪んだ)「愛」(壊れた)友情など実に人間らしい部分が含まれているところも今作の特色として挙げられる。

そしてそれは今作のタイトルである神様のメモ帳や「NEET探偵」にもつながってくる。今作において主人公が後に助手となる「NEET探偵」を名乗る少女『アリス』(紫苑寺 有子)は部屋に引きこもってはいるもの、高いハッキング技術を有していてネットを通じて世界中の様々な情報にアクセスできた。彼女はそれに加えて持ち前の思慮深さでそのデータを理解し、正しく解釈することでによって彼女は世界中で起こる人々の死とともに忘れ去られたり置き去りにされてしまった「死者の声」や想いを理解することができた。


そして彼女は比喩的にそんな死者の声の集まったものが記されたものを「神様のメモ帳」と呼んだ。そこが「神様のメモ帳」というタイトルにつながってくる。
その「神様のメモ帳」には普通なら人の死とともに忘れられるか葬られるかれらの言葉、つまり想いが記されている。そしてそれが『愛』や『友情』など非常に人間臭い感情なのだ。



ここまで見て何のことをいっているのかよくわからなかったという人のためにありがたくも「アリス」本人が『NEET探偵』について語っているのでその言葉も記しておく。

つまり…
ニート探偵は部屋から一歩も動くことなく真実を見つけ出す!ネット依存症のではない。けっして。
とのことだ。


人が死んだりボコボコにされたり病んだりそして少し暗くなるような人のココロの暗部にも触れる本作だが、その一方で愉快な登場人物たちの絡みや日常も描かれているというところも今作の評価ポイントに入るのではないだろうか。


作中では「リトルバスターズ」を意識した様な唐突な『野球』要素も入ってくる。この流れは当時の最先端のムーブだったし、ほとんどの作品に影響を与えているのだが「オマエモカ」と思いながらも結構楽しませてもらった。



作中でいくつかの事件を解決する「NEET探偵」と愉快な仲間たちだったが後半でフィナーレにふさわしい転換点を迎える。
今作において唯一「普通」と思われたクラスメイトの篠崎 彩夏ちゃんが学校の屋上から飛び降りて意識不明の重体になってしまったのだ。なぜ彼女が…、それを知るために主人公とニート探偵は事件に挑むことになる。



全体を通して振り返ってみても、個性的なキャラクターや他作品には見られない題材を取り入れたりと推理モノとしてもなかなかに光る作品だと思うし「なぜ彼女がNEET探偵を?」など多少説明不足なところもあるのだがそういう細かいところを気にしなければアリスと主人公の関係の深まりやメンバーの絆、そして事件を通して垣間見る人の『ココロ』についての描写と魅力的な作品ではないかと思う。
推理モノが好きな人ももちろん、量産アニメに疲れて少し個性的なアニメを見てみたいという人にもおすすめできるアニメだ。


NEETはなにかを出来ない人間のことやなにかをしようとしない人間のことではない。違うのはただ、ルールなんだ。ルールが違う以上、同じ様にゲームを進めることはできない。参加者は戸惑い、眉をひそめる。そしてラベリングやレッテルに躍起になり隔離し安穏を得る。だが、ニートはレッテルじゃない。生き様なんだよ。そして、ボクはニート探偵。死者の代弁者だ。
神様のメモ帳 12話 言い訳するニートの代弁者アリス





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