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2019年3月24日日曜日

悲劇か、それとも喜劇か。

世の中には数多く取り上げられる題材があります。そのなかでも有名かつ人気な作品にウィリアム・シェイクスピアによる「ロミオとジュリエット」が挙げられるでしょう。
アニメにもそんな「ロミオとジュリエット」に似せてきた作品が登場しています。今回はそんな作品の紹介です。


この恋は、秘密―。
寄宿学校、ダリア学園。孤島に佇むこの名門校には、敵対する2つの国の生徒が通い、日々、争いを繰り返していた……。
そんな状況の中、東和国寮の1年生リーダー、犬塚露壬雄と、ウェスト公国寮の1年生リーダー、ジュリエット・ペルシアは、実は秘密の恋人同士!
犬塚の告白ではじまったこの恋は、学園中の誰にも!絶対!!何があっても!!!バレちゃダメ!
「別冊少年マガジン」での連載開始時から話題沸騰の学園ラブコメ。
その爆発的な人気は、「週刊少年マガジン」への異例の電撃移籍を経て、今なお加速中。最新11巻までの累計部数は220万部を突破!
TVアニメは、『恋と嘘』や『アルスラーン戦記』を手掛けたライデンフィルムが制作。監督に『山田くんと7人の魔女』『恋と嘘』の宅野誠起、 シリーズ構成に『四月は君の嘘』『七つの大罪 戒めの復活』の吉岡たかをを迎え、他にも注目のスタッフが大集結!
絶対内緒の学園ラブコメ、開幕!!!


寄宿学校のジュリエット(公式サイト


今回紹介する「寄宿学校のジュリエット」は週間少年マガジン連載の漫画を原作とした30分枠のラブコメディのアニメーションだ。
まえがきにも書いた通り、今作は「ロミオとジュリエット」の状況に似せた個々にはどうしようもないような障壁を超えた恋仲を描いた作品となっている。原作?となる「ロミオとジュリエット」は恋愛悲劇だが今作は少なくともアニメ上の最終話時点では喜劇にすり替わっている。
私は単純なのでアニメ終了後の世界でも、ぜひとも喜劇として主人公である犬塚露壬雄くんとヒロインであるジュリエット・ペルシアちゃんにはその世界の幾多にも連なる障壁を乗り越えて幸せな未来を掴んで欲しいと願っている。


物語の舞台となる世界は私達の住まう世界とは別世界だ。そんな異世界にあるとある学校での恋愛模様を描いたものが本作となっている。その学校は全寮制で、さらに名家の出身者が多く在学している。作中の設定として2つの国が幾度かの戦争を経験しつつ一触即発の状態でいがみ合っている状況なのだが、そんな相容れない2つの国の国民感情を反映した2つの国の子女達が集う学校でお互い相容れない亀裂がある状況で国や身分、そして許容されない周囲の目という大きな壁を隔てて芽生えた恋、そしてその恋路が今作で取り扱われている。


今作で描かれる学園ではそれぞれの出身国毎に着用している制服も異なっていて、彼らは自らを、そして互いをホワイトキャッツブラックドギーとそれぞれ呼んで常に取っ組み合いの争いを行っている。
こういったネーミングやトンデモ設定から感じ取れると思うが今作は「ガチガチの恋愛もの」の作品ではなくギャグテイストやバトルマンガの要素も取り入れた『週間少年マガジン』らしい作品となっている。
さらに言うならば、今作にはそれに加えて「異世界」で「障害を乗り越えて付き合う」という『エロゲ』にありがちな展開とも見て取れるところがあり、なんとなくコレ!とは言い切れない手広く要素を取り入れている作品であると言えるのではないだろうか。

それでは以前紹介した様な「ブレンド・S」の様にすべてに置いて優秀といえるのだが何一つ尖っていないが故に優れた作品に並ぶことのできないものになってしまっているかというとそんなことは無く、ライト層からラブコメ上級者まで楽しめるオールラウンダーかつ軽快なラブコメとして仕上がっていて「ブレンド・S」のあるべき姿となっていると言えるだろう。

今作のポイントのひとつとして第一話から告白シーンが入り、二人が付き合い始めるところが挙げられるだろう。
いろいろと三角関係だったり複雑になりそうな要素を伏せて置きながらもそれらを小出しにするのではなく、まずは分かりやすく導入部で主人公とヒロインの置かれている状況やいままでの振り返りを交えて説明して最後にそんな二人が決闘(告白)をして付き合うまでの流れは明快で違和感なく受け入れることができるだろう。スタートダッシュは絶好調でしっかりと視聴者を掴みにかかっているのではないだろうか。


また、登場人物も個性的ではあるがクセが強すぎることもなく、かわいい。
ヒロインのジュリエット・ペルシアちゃん
”血液型A型
誕生日7月1日
視力右:1.0
家族関係は複雑。
料理は苦手。
男装してもかわいい。”
は当然のことだが、主人公の幼馴染である蓮季ちゃんも可愛い。分かりやすく活発で明るい女の子でありながら実はメガネ属性持ちで、主人公に向けられる純真な好意と真剣な眼差しに心打たれる者も少なくはないのではないか。


それだけではなくファッションSのお姫様であるシャルちゃんマジモンのどSであるサイベル様など多種多様なドM属性くん達にも救いの手が差し伸べられている。



ちなみに5話で主人公がシャルちゃんの靴を舐めさせられるシーンが登場するのだが、これをみた一般視聴者層やPTAの方々からはひんしゅくを買うかもしれないが、我々の業界ではご褒美なのでなんの問題もありません。

その後も各話毎に例えば『歪んだ愛情』『友達と失恋』『権力争いや家庭の事情』といった様なテーマのもとに一貫性をもったストーリー構成でラブコメにありがちな「ごちゃごちゃした感覚」や消化不良感を感じることは少なく、それでいてライトすぎて物足りなさを感じることも少ない。ここも私は今作の優れている点ではないかと考えている。

とは言え、今作がどちらかというと軽めの作風なのに違いはない。やはり展開の重い作品が好きだという人やラブコメにコメディ要素は不要という恋愛原理主義者には受け入れ難いものとなっていしまっている。
だが前述した通り、多くの要素を取り入れつつもライト層にも受けそうないかにも「週間少年マガジン」らしさも散りばめられた本作は至極のラブコメ作品のうちの一つといえるのではないだろうか。

ぜひともその目で確認してみて欲しい。

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