そんなアマゾンプライム・ビデオにはいくつかのドキュメンタリー番組枠も存在していてそこで私はヴェルサイユ宮殿の密着ドキュメンタリー番組を視聴していました。そのドキュメンタリーにはヴェルサイユ宮殿すべての時計を管理する時計技師の密着撮影も含まれていました。そしてそんな番組の視聴を終えた私の前に待っていたのは時計仕掛けの惑星を舞台にしたアニメーションだったのです。
――唐突だが。世界はとっくに滅亡している。
1000年前に一度滅んだ地球を「Y」と名乗る伝説の時計技師が時計仕掛けで再構築した世界。落ちこぼれの高校生・見浦ナオトは、「Y」が残した自動人形(オートマタ)のリューズ、そして天才時計技師の少女・マリーと出会う。彼らの能力が噛み合う時、運命の歯車は回り出す。破綻と延命を繰り返し、崩壊寸前の地球(「クロックワーク・プラネット」)を修復するクロックパンク・ファンタジー!
クロックワーク・プラネット(公式サイト)
今回紹介する「クロックワーク・プラネット」は30分枠のクロックパンク・ファンタジーだ。当然クロックパンク・ファンタジーとはなにか?という疑問がわくと思うのだが、大抵のアニメの公式サイトでは独特なジャンル分類を作品に用いる傾向があり、今回もそれのうちのひとつで、所謂サイバーパンクと時計のクロックをかけてさらに架空のお話ということでファンタジーをダメ押しに付け足した結果、この様な言い回しとなった様だ。今作の舞台は地球が突然寿命を迎えて(アニメ作中で何故寿命を迎えたのかの説明はない)人類が滅亡の危機に瀕した際に地球の環境や構造を時計仕掛けで再現した天才技師Yによって再生されてから1000年後の世界が舞台となっている。
私達が生きる現代世界からしてみれば未来世界にして異世界という訳で歯車などレトロちっくな構造と未知の想像を織り交ぜたファンタジー世界をみることができるだろう。
生き物に比べれて機械は寿命が長いかもしれないがそれは永遠ではない。機械仕掛けになることによって蘇った地球は1000年の時を経て軋み始めていた。
しかし、その一方で1000年の時を経ても人類は成長できずにその文明は停滞していた。つまり地球が滅亡の危機を脱してから1000年の猶予が与えられてもなお、なにひとつ前へ進む道筋を見いだせていなかったのだ。
という設定のもと、「ふたたび滅亡の危機を迎えてその状況を打開するために天才が必要だ」とされる前提を作っておいてから、その天才のうちの一人である主人公が登場する。
そんな主人公がいいヤツなら私の今作に対する評価は高くなったのだろうが、この主人公がなかなかクセ者だった。まず、これは物語の終盤にも絡む上におそらく今作のテーマでもあると思われるのだが”非常”に「非常識」だ。
作中にて主人公と共に行動するリューズ様は「落とし物」なのだがそれの持ち主が現れても返却を拒むという法律的に考えても倫理的に考えてもアウトだよね?という発想を押し通す。しかも作品全体を通してその様な主人公の非常識な考え方が肯定されてしまっている。天才ならなんでも許されるのか?そんなことはない。
それさえも破天荒と捉えて「天才」で「型破り」でカッケーと頭を空っぽにして視聴できるならば楽しめるのかもしれないが、ある程度まともな主人公を期待している視聴者からすると特に序盤でイラッときて視聴をやめてしまうかもしれない。
私も本来なら肝心な「3話」でこの主人公の自分勝手かつ非常識な行動に嫌気がさして視聴をやめそうになった程だった。
だがそこで視聴をやめるほど私のアニメ視聴耐性は低くなかった。そしてそんな主人公への呆れはリューズ様の変身シーンによって吹き飛ばされてしまった。
ストーリーの出だしは主人公のところに輸送中の「リューズ様」が落ちてくるところから物語は始まる。まさに「空から美少女が降ってきた!」の構図だ。(そもそも何故リューズ様が落ちてきたのかについては何も説明がないし理由もないようなのだが原作では補足がされているのだろうか?)
リューズちゃんはオートマタ、つまり機械仕掛けの女の子で小型のゼンマイを数回巻くだけででかなりの戦闘をこなしたり物理法則どこいったなチート性能を誇っている。それでも同時期に製造された姉妹の中では最弱らしい(自称)
そして行動をともにすることになる主人公の設定は学校での技師としての成績は悪かったものの、とても感受性の高い耳をもっていて音を聞くことで機構の構造を一瞬で把握して故障箇所を知ったり近くにある機械の位置関係を特定したりすることができる「生まれ持った」才能をもっているという。この才能によって世界は再修復されていくというストーリーなので主人公のやりすぎた行為もすべて許容されてしまうのだがこの才能がなかったらこの登場人物は人気度で下から数えたほうが良いほどの不人気くんになってしまっていること間違いなしだろう。
主人公はその才能を生かしていままで数百年にわたって修理できなかった1000年前に天才技師「Y」によってつくられたイニシャルYシリーズのリューズ様を修理することに成功する。
そしてその技量と才能をリューズに買われた主人公はマスター登録(指なめ)をする流れになり、時を同じくして起きた京都の都市全体を揺るがす大事件に巻き込まれることとなる。そこからストーリーは広がって行くのだが、その中で同じく「天才」(但し、こちらはほとんど努力)として扱われるマリーお嬢様とその護衛のおっさん、そして妹にして大天使のアンクルちゃんが登場して、ストーリーは京都の事件だけにとどまらずそれから発展して日本全体を揺るがす陰謀というか事件にまで関わるところまで発展する。
最終的には「マリーお嬢様」と「主人公」という『世界を再構成したYと同等かそれ以上の天才』によってまた地球は再構成されていく。そして日本という国の様々な歯車を直した二人はそのまま世界を巡ることに…という終わり方をする。要するに俺たちの戦いはこれからだ系エンディングだ。
他のYシリーズの姉妹もいる様だし、続編などが気になるようなら原作を見てみるのも良いかもしれない。
途中、主人公のクセの強さによって視聴を挫折しかけたところがあるものの、アンクルちゃんの
主人公にかなりの希少能力が備わっているという点において「俺ツエー系アニメ」のうちのひとつとみなすこともできるかもしれない。その手のアニメが好きな視聴者層にもおすすめだ。
さあ、皆もプラネット・ワークスを視聴してアンクルちゃんのパパになろう!
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