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2017年7月16日日曜日

ゼロから始まる物語。

最近は2期がありそうな流れで終わらせておいて永遠に続きがこないアニメが多くなってきた気がします。そんな中でこれは綺麗に起承転結でまとまります。そして私が2017年の春アニメで最後まで追いかけきった作品は数少なかったのですがこれはそのうちの一つにもなりました。


教会暦526年――。
世界には魔女がいて『魔術』が普及していた。
そして、世界はまだ『魔法』を知らなかった。
そんな時代、人々に”獣堕ち”と蔑まれる半人半獣の傭兵がいた。日々、魔女にその首を狙われ
人間になることを夢見る彼だったが、ある日森で出会った美しき魔女がその運命を変える。
「―戻りたいのか?人間に。だったら傭兵、吾輩の護衛になってくれ」
ゼロと名乗る魔女は使いかた次第で世界を滅ぼす可能性すらある魔法書【ゼロの書】を
何者かに盗まれ、それを探す旅の途中だという。
傭兵は、ゼロの力で人間にしてもらうことを条件に、大っ嫌いな魔女の護衛役を引き受けるのだが、
禁断の魔法書をめぐって人々の思惑が絡み合い……。

気高き魔女と心優しき獣人による極上ファンタジー


「ゼロから始める魔法の書」(公式サイト


私達が知るような呪文を唱えて行使する魔法が発達する前の時代,つまり魔術的な技術が未発達な世界が舞台になっている。そこでは魔女狩りとそれに対する報復としての襲撃が繰り返し行われていて,争いが絶えない世界だ。
獣の姿をした主人公はそんな世界で魔女を狩る側の傭兵として旅をしているがある日,偶然魔女に追われて魔女に出会う。そんなお約束な展開とも言えるような幕開けから物語が始まる。

お約束と言うと聞こえが悪いかもしれないが『いい意味で』馴染みがあり入りやすい。
そして出会った彼らは目的地を目指して旅に出る。往く先々で様々な出来事に遭遇する。旅パート狼と香辛料に近いものがある。まったりとした内容の旅情や旅の一行の人間関係やドラマを楽しむ様なアニメだ。
だがゼロから始める魔法の書は話数を重ねるにつれてテンポを上げて行き,その性質を変えて行く。それなので序盤の雰囲気で狼と香辛料の様なアニメになるかと期待してみていた人からすると違和感や残念な感じを受けるかもしれない。
だがそれも仕方のないことだろう。『狼と香辛料』では主人公達は旅商人で旅先の出来事に絡んで行ったり巻き込まれたりという内容だが『ゼロから始める魔法の書』はヒロインである魔女ゼロが物語のそもそもの始まりであり始末をつけるのも彼女だからだ。



登場人物はそれほど多くない。主人公が獣であるけれど中身はまともなのでさほど違和感はないし、癖があるキャラクターは少なく馴染みやすい。
キャラ萌え目的で見ると少し辛いかもしれないが私はゼロの見た目を気に入っている。彼女の古着を泣く泣く手放したあの仕立て屋の店主は使用済み靴下を無事ゲットできたのだろうか…。
彼が主人公のスピンオフが出るとしたらタイトルは『ゼロからはじまるブルセラショプ』になるだろう。それはそれで面白そうだ。


最後まで見てみれば綺麗に纏まっている。序盤には明らかになっていなかった物語のそもそもの始まりが解き明かされ、解決し,めでたしめでたしという流れから俺たちの戦いはこれからだパターンならぬ俺達の冒険はこれからだに繋がって行くのだ。
起承転結がよりはっきりとした形といえるだろう。

私は12話構成ででこれほどまでに最初からオチまで纏めてそこから綺麗に『次の段階』へ繋いで行くストーリー構成を良かったと思う。
最初から一気に見て何か『もやもや』するものを残すことなく見終えることが出来る良いアニメだ。
個人的には旅(日常)パーートが好きだったのでもうすこしそこのところが充実していたら嬉しかったがそうしたら綺麗にまとまらなくなってしまいそうだし絶妙なバランスを取れている作品だったのではないかと思う。

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