Squad Infantry Combat Overhaul(ICO)の話
概要
SquadのInfantry Combat Overhaul(以降はICOと記します)は歩兵戦に関する要素の大規模変更で新たな制圧効果の仕組みやスタミナの仕組み、そして武器の安定性に関する仕組みに加えて照準器のピクチャー・イン・ピクチャー方式への移行とその見え方に関する変更が含まれています。
注意事項
これから記述される内容は私の主観に基づいてICOについて思う所をチラシの裏に書き綴ったものです。大まかに言えばICOアップデートについて否定的な意見が殆どですが私が100%正しいと思っていませんし、肯定的な意見についても完全に間違っているとは思いませんし、いろいろな感想があって当然だと思います。また、事実として周囲の反応や例え話をするときに代名詞を用いることはありますが特定の誰かを揶揄するものではありませんので誤解の無き様に、よろしくおねがいします。
この記事は主観に基づいて正確性に欠けるところがありますし否定派、肯定派みたいな争いの火種にするために書いている訳ではありませんので話題のきっかけとされるのは構いませんがこれを正しいとかこう言ってる人もいるからみたいな使い方はされないようにご注意ください。(繰り返しになりますがこれはチラシの裏に書き綴られた個人の感想です)
ICOで追加されたファンタジー要素
◯自我を持って体と分離する銃。
銃が自我をもって揺れるようになりました。銃を構えるときは安定するように構えているので体の揺れに合わせて揺れるはずですが、銃がそれを構えているとは思えないような揺れ方をする様になりました。レビューやRedditでは腕の力がない赤ん坊が持っている様だと言われたりもしています。ですが赤ん坊は銃を構えられないし、赤ん坊以外の要素で考察しても現代戦の設定とゲーム内のキャクターモデルを見れば分かる通り、どう考えても訓練を受けたガッチリとした正規軍兵や銃の扱いに慣れた武装兵がしっかり構えている銃がこの様な揺れ方をするはずありません。それなので私は今回のICOアップデートで『銃が自我を持って浮遊して揺れている』という可能性に行き着きました。現代戦をテーマにしたFPSで『自我を持って浮遊する銃』は初めて見るのでとても興味深いです。
◯銃口に取り付けられた見えない重り
左右に視点を移動させると銃口が左右にブレる様になりました。さて、モデルガンでもエアガンでも箒でもなんでも良いので長い棒を銃を構えるように構えて体を左右に回転させてみてください。銃口は体の軸に連動して移動します。それなので体の軸が移動したあとに銃口がそのまま移動した方向へ引っ張られるなんてことは起きないことが確認できると思います。しかし今回のICOアップデートで体を回転させると銃口が移動した方向側へ引っ張られるようにブレる様になりました。これを説明するために私は「銃の先端にダンベルをぶら下げていて遠心力と重りの重量で銃が引っ張られている」という可能性に行き着きました。戦闘中にも筋トレとは関心します。
◯純金製のハンドガンと双眼鏡
ハンドガンや双眼鏡を構えると、とにかく揺れます。小銃の照準器を除いたときと同じ様に揺れます。きっと純金製のかなり重いハンドガンや双眼鏡を装備しているため持つのに精一杯で視点が揺れてしまうのでしょう。普通のハンドガンと双眼鏡よりキラキラしていて素晴らしいと思います。
ICOアップデートによるこれらの要素の追加によって、SQUADは狙い通りに弾を撃つFPSのジャンルからファンタジーアクションゲームにアップデートされました。
ICOアップデートについて思うこと。
◯移動速度の低下とパルクールについて
まず、単純にテンポが悪くなりました。しかし開発はテンポが悪くなることを目的としてICOアップデートをした様なので意図通りということなのでしょう。しかし私は移動速度の低下とスタミナの変更によって歩兵の移動能力に制限をかけたことについて意味不明な改悪アップデートだと思っています。チームプレイの促進以前の問題があるからです。
manicouaganなどのそれなりに広いオープンスペースと遮蔽のある空間が別れているマップはICOアップデート前の歩兵の移動能力に基づいてレベルデザインされています。それなので歩兵で移動するようにデザインされた経路を移動するのに必要な時間が「無駄に増えました」。これは単純にストレスの原因でしかありません。
また、戦闘中において制圧射撃を利用した分隊の機動が殆ど意味を為さなくなりました。移動速度が遅すぎて部隊を移動させるための制圧射撃を加える側の装弾数が足りないのです。それなのでICOアップデート以降、相手に制圧射撃を加えることはあってもそれは「射撃による戦闘を有利にするため」という目的に終始して部隊の移動を支援する為の制圧射撃は殆ど姿を消しています。
制圧射撃と移動速度の関係については一例に過ぎず、他にも歩兵分隊の戦術的・戦略的な移動や再配置の殆どが遅すぎて意味を為さなくなりました。決まったポジションで待っている以外の選択肢が圧倒的に弱くなったのです。歩兵という歩いて戦う兵士の歩く部分に制限を課してどうするのか疑問でしかありません。ICOアップデート前の歩兵の移動速度が常識外れに早かったなら歩兵の移動に関して制限を課すのも納得いきますがそうでなかったことは明らかです(誰かが「早すぎる」と文句を言っているのを聞いたことがありません)。
パルクールの弱体化についても疑問を感じています。何故ならICO前のパルクールの環境が成立した背景にはそれが特定拠点などでSuperFOB化されたときにICOアップデート前のパルクールが無いと突破が不可能になる事例が多発してその解決策としてパルクールを実装している経緯があるからです。また、ファルージャなどのマップにおいてはICO前のパルクールを前提とした屋上や建物間の移動や塀の配置がされているのにそちらには修正を入れていません。過去に何が問題になって何故ICO前のパルクールがあったのか、そしてそれを前提として何を開発してきたのか集団記憶喪失になってしまった可能性があり、開発者達をとても心配しています。
◯制圧効果について
制圧射撃に視覚的な効果を与えることやそれを強化することは良いと思いますし反対しません。しかしICOアップデート後の制圧効果はやりすぎです。
制圧効果の有効範囲が円上なのかは分かりませんが反対の建物に着弾する機関砲などの制圧射撃効果を受けたり、我が身をかすめてもいない銃弾に怯むようなありえない設定には疑問を感じますし興醒めしてしまいます。
私の解釈として制圧効果とはゲームであるが故に制圧射撃を受けてもそれを諸共せずに銃弾を掻い潜って前に進んだり反撃したりして正確に反撃するゲームならではの行為のカウンターパートとして実装されていると思っています。そしてそれは確かに機能していると思いますが今ほど強力にする必要はないと思います。
なぜなら、ゲームであっても正確な射撃やランダムであっても自分に当たるかもしれない射撃を受けているプレイヤーは自らのデスを回避しようとするという原則があるからです。私はこの点でFPSにおいて正しく行われた制圧射撃という行為は多少は、元々から心理的に抑圧・制圧効果があると考えています。
Squadで分かりやすい例を挙げるなら榴弾砲の射撃はまさにそれで視覚的な制圧効果以前の問題として榴弾砲の準備射撃から射撃が終了するまでの間、プレイヤーは自らの安全を確保することを優先として行動するため完全に制圧された状態(釘付けされた状態)になっていることは明らかですし視覚的な演出に頼り切る必要がない事は理解して貰えると思います。
それなので無理やり完全に視界や照準能力に壊滅的な要素を加えて制圧射撃の効果を演出する必要はなく、それなりに有利不利が出る程度の制圧効果でより制圧射撃による釘付け状態を再現するに留める程度で良かったと思います。何故ならICO以前においても「正しく正確に」制圧射撃を行えばその効果は発揮されていたからです。ICO後の制圧射撃効果はそれが発生した瞬間からFPSのうちシューティングの要素を完全にゴミ箱に捨てる程のものであり、やりすぎだと思います。
特に1対1の打ち合いでほぼ同時に打ち合って初弾が当たらなかったときの打ち合いはFPSの経験としては最悪です。お互いに制圧射撃の効果で照準はブレブレで視覚効果で相手も見えなくなり、「当たることを祈りながら」相手が倒れるまでマウスをポチポチし続ける行為を楽しいとは思えません。私だけかもしれませんが...
◯武器の揺れについて
船に乗っている感覚を感じることが出来ます。人によっては酔う様です。多くのゲームはこういった問題を抱えるプレイヤーのために揺れの表現を切るオプションがありますがICOアップデートによってもたらされたこれは意図的な仕様です。酔い止めを忘れずに。
射撃に必要な時間を伸ばすとか射撃の精度を下げることに繋げて「ゲームのテンポを下げる」という開発の意図が主だった理由なのでしょう。(これは後述します。)
ただ、SQUADをFPSゲームとして売り出している以上、ゲームのテンポを変えるために射撃に必要な時間を伸ばすとか射撃の精度を下げることを受け入れられないプレイヤーが出ることは明らかで、それはFPSのシューティング要素においてマイナスポイントになっている事は明らかでしょう。それなので私もシューティングゲームとしてICO以後のSQUADについて以前より単純に楽しく無くなったと感じています。
ですがこれと違う理由で私はICOに伴う武器の揺れについて違和感を感じています。
それは私の体験が影響を与えていてその体験とは、VRゲームをプレイしている時に画面共有などでプレイ映像を共有すると視点が揺れていると指摘されたことに始まります。その時、VRヘッドセットをつけてプレイしている私は揺れをそれほど感じていませんでした。
Squadでもキャラクターの主観視点でプレイしているのであるなら、自分の体を大きく動かさないかぎり自然な呼吸などに伴う体やそれに伴う視点の揺れについては現実問題として人はそれをそれほど感じないはずなのにそれが客観的に再現されてしまっているのです。
そうなるとSquadのなかで兵士としてプレイしているはずなのに視点はまた別の第三者として見た時に感じる揺れが表現されていることによって没入感が損なわれています。映像作品のヘッドマウントカメラやボディカメラの映像と照らし合わせるとこの揺れは「現実的に見える」かもしれませんが私はSquadを映像作品を見るためにプレイするのではなくいち兵士としてのゲーム体験を求めているので「現実的に見えない」なと感じてしまうのです。
◯ピクチャー・イン・ピクチャー方式について
照準器を覗き込むときに周囲がぼやける現象について、今までは照準器の倍率に合わせて周囲も拡大して見えてしまうからそれを防ぐためでした。しかしICOアップデートに伴ってピクチャー・イン・ピクチャー方式なった倍率付きの照準器を使って照準器の中だけ拡大される現状になっても照準器の周辺にはぼかしが入っています。これは本当に意味不明です。なぜなら照準器の倍率に関係なく等倍の視界が描画されているのでぼかしをいれる理由がないこと。両目を空けて照準器を覗き込めば周囲は普通に見えるはずであること、そして片目で覗き込んで反対の目を閉じているなら周囲が暗くなっているはずであるからです。
せっかくアップデートしたのにいままでと同じようにぼかしを入れるなら何のためのピクチャー・イン・ピクチャーなのか良く分かりません。忘れているのかな?と思っています。
◯照準器について
差別化したかったのかもしれませんが等倍の光学照準器が汎用性も高く強くなっただけでした。倍率スコープはマウスで銃の反動を制御した場合、銃は標的に対して安定していて弾も真っ直ぐ飛ぶのに何故かスコープだけ反動を制御できていないときと同様に上に跳ね上がっては大きく元の照準点に戻る動きをする「スコープ幽体離脱現象」によって没入感が損なわれるものとなりました。また、ピクチャー・イン・ピクチャーに伴って照準器の見え方が変わって様々なゲームで言われる「何故レールのそこに照準器をつける?」現象が発生していていくつかのサイトは照準器の距離が遠く見辛いものになりました。
これは好みもあるので賛否あると思います。私は見えやすい方が単純に助かるし撃ち合いを楽しめるので好きですし、もう少し使いやすくする微調整が必要だと思いますがICOアップデートの照準器の調整の「方向性は」それはそれでアリだと思っています。
ただ倍率照準器はデッドゾーンが殆どを占めて見えないという点において、等倍照準器においても焦点がズレるという点において移動したら照準器を覗き込むことがあまり意味がなくて腰だめの方が強い仕様になったことは残念です。腰だめ射撃で近距離戦を戦うなんて第二次大戦期のトンプソンじゃあるまいし、構えながら戦う選択肢の方が一般的であるはずなのに明らかにそれを不利にして現代戦に則した近距離戦闘スタイルが縛りプレイのような真似になってしまうのは違うと思います。
ICOと同じタイミングでより安定して照準器を使いながら移動できる「ゆっくりとした歩き」を実装する等の何かしら選択肢を準備すれば反感を買うこともなかったですし。現状の同じ実力のプレイヤーが戦闘を行う時に芋もしくは棒立ちスタイルが勝つから「動かない」という縛りプレイを選択させることによってテンポが壊滅的に悪くなる現象も発生しなかったと思うので、プレイヤーの選択肢が大きく狭められた事について非常に残念に思っています。。
ICOアップデートを巡る論争について思うこと。
◯リアルなのかリアルじゃないのか?
どちらでも良い話だと思います。SQUADはゲームです。よりリアルに見せるということは出来るでしょうがリアルでないものをリアルに見せるためには「現実的」かけ離れた映画やドラマのような「演出」が必要であってICOアップデートでリアルになったという人はより「リアルに感じた」ということで正しいのでしょうし同じ理由でリアルでないと主張する人も概ね正しいと思います。
私としては「リアル」についてはICOアップデート以前の問題としてフリールックが実装されたときに移動するキャラクターモデルに応じて「揺れない肩」で既に興醒めしているのでまったく期待していないですし、何を前提とするかで「リアルと感じるかどうか」も変わるのでどっちでも良いと思っているのですが「リアルに見せるための演出」と「リアル」は別であるということは強調しておきたいと思います。
◯FPSとしてどうなのか?
議論を見るといろいろ総合して評価して賛否分かれている様ですが雰囲気とかそういう要素を排除してファーストパーソン「シューティング」ゲームとして見た楽しさはICO前の方が良かったというのは全員の共通認識なのではないでしょうか。
その変わりにICO後のSQUADが体験型ロールプレイングゲームとしてはより楽しく遊べる様になったとは思います。
◯チームワークを促進するのか?
チームワークは人によって成し遂げられます。つまりプレイヤー次第ということです。
これはとても重要な事実なのですが「ICOアップデート以前から高度な連携や戦術や戦略の実践は行われていました。それが出来るプレイヤーによってチームワークは実現していました。」そしてそのチームワークについてICO以前に無くてICO以降に現れたという人はそれが「出来ていなかった」ということをはっきりと申し上げておきます。
それなのでICOアップデートによって開発の意図通りゲームのテンポを落として(無くして)戦況の変化のスピードをとても遅くすることで最終的な目的であるチームワークの促進が成し遂げられたとは思えません。
実際にはICOアップデートによってゲームのテンポを遅くした事によってリアルタイムに変化する戦況はほぼ見られなくなり、流動的な状況に合わせた柔軟な対応(ここに分隊内外の連携や戦術や戦略の要素が大きく含まれます)はその成果を奪われ、ICOによってテンポが悪くなればなるほど連携や戦況分析や作戦などに優れたプレイヤーの努力が結果として反映されなくなったからです。これはチームワークの退化と言って良いと思います。
一方でICOアップデートは連携が出来ないプレイヤーや偵察・計画・実践などのプロセスなど必要な事を無視して無謀な作戦や机上の空論に沿った「連携を夢みるプレイヤー」にとっては好都合でそういった人々に「連携に見えるもの」を提供することには成功しています。良く言えば体験の均一化に成功したのでしょう。
しかしここで重要なのは実際に「チームワークを実践するプレイヤー」から本来得られるべき成果を取り上げてしまった点です。
それはつまりICOアップデートはチームワークを促進するのでなく「実際にはそれを阻害しながらそれっぽいものを体験させる」という点において機能しているということです。
それなので私は今回のICOアップデートでSquadの魅力であった連携・戦術・戦略の分野で大きく魅力を失ったと思います。一方で適当にプレイしてもそれっぽく振る舞えるという点において手段を選ばず普遍的に連携の体験を行き渡らせるということが開発の意図通りなのだとしたら上手く行ったのだろうなと思いますが長期的にそれがSquadにとって良い事とは思えません。
長く親しんで遊んできたゲームがその魅力を失ってしまったことは残念ですが開発が意図して為してしまったことなら仕方ないことです。ただ一点、この論争でたまに見かける「与えられたチームワーク」を誇らしそうに掲げながら「今まではチームプレイや連携などなかった」ような言い方をする人について、そのような言い方をすれば「ICOアップデート前からチームワークを重視して実践してきたプレイヤー達を見下している」のと同義であり、非常に残念だと思います。
最後に
賛否どちらにせよゲーム性が大きく変わったことは誰もが認めるICOアップデートを正式リリース後にやったのは不味かったと思います。しかもICO前の環境でアップデートのための資金調達としてDLC販売まで行っておいてゲーム性を大きく変えて、「適応しろ」とか「嫌なら別のゲームに行け」というのは乱暴すぎます。ICOアップデートの件で約束も守らずバグを生み出し(何時になったらサウンドバグは治るんですか?また忍耐に感謝ですか?)放置し続ける開発者達に対する評価が地の底にあり続けるということが再認識されました。
それでもSquadがコミュニケーションや戦術などに焦点を当てた現代戦をテーマにした数少ない対人のFPSであることに変わりはありません。(ファンタジーRPG化しつつありますが)
今後も議論が深められてより多くの人が楽しめるような変更があるかもしれませんし、新規要素の追加も含めて不安希望もあります!!
ICOアップデートの惨状をみてSquadを見放すプレイヤーも数多い今こそSquadを愛してあげるべき時なのでしょう。ICO前までのSQUADありがとう。そしてICO後のSQUADも頑張れ!!
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