Day of Infamy(Steamページ)
カウンターストライクシリーズからリアル系FPSジャンルとして派生したinsurgencyのWW2版としてリリースされたのが今作となる。
insurgencyは派生元が競技性の高いカウンターストライクだけあって挙動はかなり軽快で一からリアル系FPSやTPSとしてデザインされたゲームをプレイしてきた層にとっては違和感を感じるかることがあるかもしれないが、逆に言えばライトなゲーム層が「リアルな」FPSをプレイしたいという需要を満たすことが出来るし手軽な値段と複雑でないCoopモードも相まってリアル系FPSのエントリーモデルとして幅広くオススメできるゲームだった。
Insurgency(Steamページ)
今回はそんなinsurgencyの時代設定をWW2当時に移してさらに砲撃要請システムやそれに伴う「通信兵」の概念を加えたりチームにおける役割分担やその連携を重視したデザインに進化している。
基本動作そのほかはほとんどinsurgencyなのでもともとWW2バージョンのinsurgencyがプレイしたくてWorkshopでスキンを漁っていた様な方にはとてもオススメだ。
一方で今作も前作であるinsurgencyと同様に幅広い人にオススメできるゲームかというとそうとも言えない。もともとからのリアル系FPS要素は“初めての”人には分かりづらくとっつきにくいものなのだが、今回、さらに役割分担やその連携の必要性が上昇したことから前作からのプレイヤーにとっては進化でも初心者は今作からはじめてプレイを初めたプレイヤーにとってはさらなる敷居の上昇という障害となってしまっているのだ。
さらにハードなリアル系FPSをプレイしているプレイヤー層にとっても今作が諸手を挙げて歓迎できるものであるかというと難しいところがある。
そもそもリアル系FPSではよりカジュアルなFPSに対してリアルな“不便さ”を求める傾向にある。それは様々な手順や連絡手段などを複雑化したり味方や敵のネームタグやハイライトの消去にとどまらず、プレイヤー自身の挙動にもあてはまるのだがどうしてもカウンターストライクシリーズをルーツにもつ今作はサクサクとプレイヤーの動きが軽快すぎるのだ。
それなので今作にはこだわりも感じる一方でカウンターストライクからのルーツを操作性に反映させている今作はハードなリアル系FPSのプレイヤーにとっては“違和感”のあるものになってしまうのである。
また、Coopゲームモードの話になるが大体は目標を破壊、占領する、もしくは防衛することが目標となり、それらを達成するまで敵が一定時間以上に大量に出現して目標地点付近へ移動するという作りになっている。
リアル系なのにもかかわらずひねりもなくWAVE制のスポーンシステムもいささか不満が残るところだが、それに加えてどう考えてもAI用のいらない迂回経路が設定されていて攻めていても守っていても背後からの攻撃に注意を払う必要がある。背面への警戒、大量の敵、そしてAI特有の草木を透視してプレイヤーを捕捉する能力が加わって開けた地点での戦闘は割と絶望的でプレイヤーはマップ毎に『定番ポイント』でWAVEが終わるまでキャンプするという行動を繰り替えせざるを得ない。これは今作がせっかく指揮官やラジオまんなど集団での行動もデザインして色々な戦術をプレイヤーが試す機会を奪ってしまう残念な要素だと思う。
それに加えて絶え間なく大量に沸く敵に対処するためにプレイヤーは弾薬を大量に消費する必要が出てきて少しでもミッションが長期化する傾向があれば敵の落とした武器を拾わなくてはいけないのだがそれもランダムドロップな上に敵の武器を奪ったあとに同種の武器から弾薬を回収できない『その場限り』ウェポンズを次から次へと交換しなければならないなど「シビア」と言えば聞こえが良いかもしれないがなんとなく『強いられている』感覚がするゲームプレイはちょっと窮屈に感じてしまう。
そういう訳で独特の面白さもある今作だがその独特さがそれぞれのプレイヤー層の心を掴むにはあと一歩の中途半端なラインを作り出してしまっている今作はそれほどプレイヤー人口を稼ぎ出すことはできなかった。レビューは非常に好評となっていてそれも納得できる。
だが今作が“しっくりくる”人にとっては良作である一方で今作がそうでない人もそれなりにいて、私もそのうちの一人である。
こればかりは合う合わないがあるのでなんとも言い難く、私には合わなかったがドンピシャの人にとってはとても魅力的なゲームになるであろう一作だ。
1年に何度かはフリーウェークエンドで無料で試せる機会がある上にもともとの価格もそれほど高くなく、セール時には600円前後までお安くなるので興味のある人はウィッシュリストにでも放り込んでみては如何だろうか。
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