なぜ彼女たちはいつも絶望的な状況下に抗い、それでもなお絶望の淵に落とされてしまうのでしょうか。
魔法少女であるために、騙す、出し抜く、奪い合う。
「増えすぎた魔法少女を半分に減らす」という運営からの一方的な通告のもと、
一週間に一人ずつ、魔法少女がその資格を剥奪されていく。
リスクを孕んだ、理不尽なゲームに囚われた16人の魔法少女は、
黒幕の意図に翻弄されながらも自分が魔法少女であり続けるために策を練る。
特殊な環境下で麻痺していく感覚。しかし、その中で魔法少女たちはそれぞれの想いを持って、この無慈悲な椅子取りゲームを受け入れていく――
魔法少女育成計画(公式サイト)
掴みはばっちり。冒頭からネタバレというかしっかりと今作の向かう先を視聴者に思い知らせてくる。まどマギから時代は変わった。『魔法少女=夢も希望もないんだよ』になってしまったのだ。
流行るソシャゲとまどマギから続く絶望系魔法少女をかけ合わせたのが本作となっている。
主人公となるスノーホワイトこと小雪ちゃんは幼いころから中学生になるまでずっと魔法少女にあこがれていた。それも私達が知る朝アニメ枠の魔法少女たちの様に純粋に人助けをして悪を打倒してハッピーENDを迎える方のやつだ。
そしてそんな想いを胸に秘めながらも魔法少女を題材にしたソシャゲである「魔法少女育成計画」をプレイしながら普通に女子中学生していた。
そんな彼女がいつもどおり「まほいく」をプレイしていると突然ゲーム内のマスコットキャラである「ファブ」くんが声をかけてくる。
「魔法少女にならないかい?」
そしてスマホの中央に表示される『今すぐタップ』のボタン。他に何の説明も無し、そして戻るボタンも閉じるためのボタンもクリックされていない。
そう、彼女にはもう魔法少女になる以外の選択肢はなかったのである。最早ワンクリック詐欺に近いかたちで契約している時点で「あ…」と視聴者の中で冒頭出てきた生々しい描写で生まれた不穏な空気が確信に変わって行くことだろう。
ちなみに話が進んで魔法少女たちの回想シーンが出てくるのだがこのシステムによって間違えてボタンをタップして魔法少女になった人もいる模様だ。なむー。
そして早速意味不明な展開が訪れる。
なんでも魔法少女を増やしすぎちゃったから減らすねてへぺろ☆(・ω<)ということらしい。
計画性が皆無なマスコットである。そして魔法少女としての活躍の証であるマジカルキャンディが一番低かったものが脱落ということになる。
そして最初に「ねむりん」という魔法少女が脱落する。そしてその晩にねむりんは死ぬ。
なんでも
「みんなは魔法の力によって強さを極限までに引き出された魔法少女だぽん。その権利を失うってことは生き物としての本質を無くしてしまうってことで、つまりは死んじゃうぽん」
ということらしい。仕方ないね。
んな訳あるか!!ポンポンうるせえぞこの野郎。
ともはやこの時点で「ファヴ」くんに対する憎しみ値がMAXを越えて止まることを知らない状態になることは必至だろう。そんなときは「魔法少女なんてもういいですから。」をどうぞ。
つまり彼女たち魔法少女はワンクリック詐欺まがいの契約をさせられて脱落しても魔法少女やめても死ぬバトル・ロワイアル状態に突入させられてしまったらしい。
そしてゴングが鳴らされる。「マジカルキャンディの譲渡が可能になったぽん」
そう、譲渡が可能ということは相手を殺して相手の端末を奪ってキャンディを強奪することが出来るようになったということだ。そして魔法少女同士の殺し合いが始まる。おわり。
その後は狂気が狂気を生み出して行く様が淡々と描写される。まず魔法少女達そのものが狂気だったという問題もあるが。
中盤以降は寿命と引き換えに道具を得るというサイコシステムが導入されたりして終盤ではもうキャンディとか関係なく殺し合いが加速して普通にキャラが惨殺されていく。
殺しも自殺もあるんだよ。
そして最終的にそもそもこのバトル・ロワイアルシステム自体が特に何か意味があるわけでもなく世界にとって必要なものでもなく単に個人的な享楽で行われていたことが明らかになって最後に二人の魔法少女が生き残って終わる。
さて、ここで搭乗する魔法少女たちの紹介をしておこう。
- スノーホワイト : 最後に残ったみちしるべ
- リップル : ツンデレというよりクーデレ?
ラ・ピュセル : 魔法小男の娘?(死亡)トップスピード : 妊婦(死亡)カラミティ・メアリ : イキリ(死亡)ねむりん : かわいい。天使(死亡)ルーラ : 自分が賢いと思っている人ほど肝心な所が(死亡)スイムスイム : 下剋上(死亡)ミナエル : 双子そのいちのモブ扱い(死亡)ユナエル : 双子そのにのモブ扱い(死亡)たま : 特に出番なし。(死亡)マジカロイド44 : 家出少女(死亡)シスターナナ : ガチレズ(死亡)ヴェス・ウィンタープリズン : ガチレズ(死亡)森の音楽家クラムベリー : 戦闘狂(死亡)ハードゴア・アリス : ヤンデレ(死亡)
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ファヴ : ゴミ(消失)やったね!
最後、スノーホワイトが成長して最後の魔法少女として世界を駆け抜けていく。おわり。ってなると思った?クソが!
原作としてはこのあとも続く…といった形でスノーホワイトは活躍して行くよみたいな感じで今作でアニメ化されている部分は導入部分に過ぎないそうだ。
つまり、原作を見ないでアニメだけで今作だけを見るということは原作派の人からすればほぼ意味の無い行為ということになるし、今作では何も「回収」されていないのだ。
ただ魔法少女となった現代社会の闇を抱えた少女達が戦いの場に引きずり出されて殺し合い、死んで逝く様を描いてそれにお情け程度のそれぞれの人生の回顧録がセットでついたような作品に私は価値を見出すことはできなかった。
ま○か☆マギカはそれが完全なハッピーENDとまでは言わないまでも彼女自身の願いや力を使って彼女なりに物語に決着をつけておわったが今作はそれもない。私には今作が魔法少女に絶望を持ち込んでより特化させて適当に社会問題を取り入れてリアリティを付け加えてみたりしてみたような寄せ集めの塊以上のものに見ることができないのだ。
だが一つ、今作が私の嗜好や理解に合わないというだけであって今作がそれほど酷いものかというとそうとも言えないかもしれないということは伝えておきたい。
人にはそれぞれ価値感がある。今回紹介する「魔法少女育成計画」は私にとってはとても見れたものではなかったがアニメとしての作画や声の質はとても安定していて良いしこういうジャンルが好きな人や私が見出せなかった今作の価値を見出だせる人も当然いることだろう。
だからこの感想を見て興味をもったなら私はとりあず見てみることをオススメしたい。だが私の説明を聞いて見る気を失ったり視聴を初めて3話あたりまでに合わないなと感じた人がいたなら素直に視聴を終えることをオススメする。とりあえず今作は「ブレる」ことなく人が死ぬということだけは伝えておきたい。
美しくも可愛いキャラクターデザインと一般的な魔法少女のイメージとは不釣り合いな苛酷な描写、そして予測を裏切るストーリー。
とあるが今作は私の希望を裏切るストーリーだった。
(視聴して)後悔しかあるわけない。
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