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2018年3月27日火曜日

造られし神が動き出す先に待ち構えるものとは。

異世界モノも世に溢れかえってきましたね。様々な作品が今まで現れては消えて行きました。
最近の傾向としてはすこし「さすおに系」かつ「ファンタジー系」な異世界ものが多かった気がします。このすばもReゼロも主人公の能力値の高さとファンタジー系の世界観を満たしています。
そんななかで転生先が戦火の耐えぬまるで第一次対戦もしくは第二次大戦中の様な世界でかなりハードな“戦争”をテーマにした新作の紹介なのです。


統一暦1923年6月。
金髪碧眼の幼女、ターニャ・デグレチャフは帝国軍士官学校の最終課程、
部隊勤務の一環として北方軍管区ノルデン戦区の第三哨戒線で研修に励んでいた。
航空魔導師として輝かしいキャリアを踏み出すための第一歩である研修は
何事もなく無事に終わるはずだった。

しかし事態は思わぬ方向へ転がっていく。
協商連合の越境侵犯をきっかけに帝国と協商連合は戦争状態に突入。
戦時体制への移行に伴い、観測任務が割り当てられるも、
協商連合軍による奇襲が発生し、
ターニャは敵の魔導師中隊と単独で交戦しなければならない事態に陥ってしまう。
多勢に無勢で味方が到着するまで持ちこたえることなどできるわけもなく、
しかし逃げようものなら敵前逃亡で死罪は免れないという絶望的な状況。
何としても生き延び、上層部に対して最善を尽くしたとアピールするため、
ターニャはとある作戦に打って出るのだが……。

“其れは、幼女の皮をかぶった化物――。”



幼女戦記(公式サイト


今作の序盤の話の流れをまとめてしまうならば、現代でエリートサラリーマンとして出世コースまっしぐらでちょっと官僚的すぎる(論理的すぎる)主人公♂が仕事の一環としてリストラを事務的にこなすのだがその相手から逆恨みされて殺されるところから始まり、死の直前に主人公いわく「謎の存在X」(神様)と対話して信仰心が無いことを指摘される。そこでの対話で頑なまでに神の存在を否定し続ける主人公に神は「ならば恵まれた現代の元で信仰心を失ってしまったというならば過酷な状況下でそれを取り戻せ」と主人公を異世界に転生させることに。
そうして主人公は戦火の中のある帝国の孤児院に捨てられた幼女に転生するのであった。
そしてその世界には魔法が存在しその力を持つものとして運命づけられた彼女?は軍に身を投じることになる。
といった感じだ。

今作を視聴する上で2つほど注意しなくてはならない。


  1. 今作が仮想戦記かつ異世界ものという性質を持っていること。
  2. かわいい幼女の中身がアレでもうひとりの女性枠も癖のあるキャラクターデザインであるためブヒる目的には適さないかもしれないこと。


まず純粋に歴史をこよなく愛して歴史書を読み耽る様な層にとって今作はなんとももどかしいところがあるだろう。あくまでリアルな「異世界」での出来事を描いた今作はかなり深い歴史考察の上に明確な根拠や目的をもって歴史の「もし」を描いた様な作品ではなく「あくまで」異世界の話に「過去のヨーロッパの情勢風に似せた」状況をはめ込んだ(持ってきた)作品であるからして純粋にヨーロッパでの戦史や歴史に興味があり、歴史書を読み耽る層などからしてみれば今作がとても半端かついい加減に見えてしまうかもしれないことを伝えておきたい。

だが一方でそれはつまり、一般層からしてみればかなり第一次もしくは第二次大戦期に限りなく寄せてある戦記ものとしてしっかりと描写がされている良作であるという証でもある。そしてそんな今作はこれから世界がどうなって行くのか今、私達のいる世界での歴史をなんとなく知る視聴者達にとって「主人公たる」ターニャちゃんが彼女たちの世界のどう世界の行く末とどう関わって行くのか、そしてこの先どうなってしまうのかを考えずにはいられず続きを見ずにはいられない要因となることだろう。

そして、主人公となるターニャちゃんの中の人格は転生前の♂のものを引き継いでいるので見た目はなかなかにマニアックな幼女なのだがまったくもってブヒらせてくれる隙をみせない。そしてそんなターニャちゃんの副官を努める巨乳ちゃんも好き嫌いが出そうなブヒりきゃらだしなんだかんだ言ってちゃんと軍人&副官しているのでヒーリングアニメ枠として今作を視聴するのはお門違いであろう。ちなみに私はいけます。



なんだかんだ言ってはいるが最終的にまとめてしまうと今作は「面白い」アニメだった。作画もめっちゃ良いし声も良いしストーリーも前述した通り深読みしてしまうと悶々とする要素を抱えてしまってはいる一方で仮想戦記ものとして特に戦争ものが好きな私にとって塹壕戦や砲兵観測に魔法使いをあからさまな違和感なく織り込んできて主人公が歴史を動かして行く様や自分のこだわりや考え方が仇となって思ったより別の方向へ行ってしまう様は本当に楽しめる。

ただひとつ、存在Xこと神の序盤の第二の転生はないという部分や途中でターニャに力を与えておきながら別のものにも力を与えているあたりからその「存在X」によってどんな結末でも終わりに矛盾を抱えそうな展開となってしまい、逆にそこが面白いともとれるが「物語上で想像された神が自ら動き出して作者を揺り動かしてしまっているのではないか」と思ってしまうほどに物語の一貫性が失われていって場当たり的な展開が増え行く様に感じたのは少し残念だった。

つまり神や市場主義などを引き合いに出して説明的に語られてはいるがそれらはただ物語上のいち要素に過ぎないので今作に深い意義を見出そうとすれば本作の魅力を見誤ってしまうということだ。

私は今作を跳ねる幼女の髪にときめきを覚えながら深く考えることなく彼女たちの戦いと硝煙の世界とそのの行く末を楽しむアニメとして高く評価したい。

今作で様々な戦略や大規模構成、軍事技術や兵站などの要素に興味を持った方がいましたらHearts of ironシリーズがオススメです。

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