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2018年5月28日月曜日

ピンクのみゃーもりが町おこしがんばります!

アニメは3話で掴みにくる。そんなお約束の元に大抵のアニメは序盤に見せ場を用意してくる。
だがしかし!、世の中にはそんなお約束を無視してじっくり24話かけてやっと評価ができるそんなじっくりスロースターターアニメが存在するのです。
前作として比較されがちなSHIROBAKOとは一線を画するアニメの紹介です。


主人公、木春由乃こはるよしのは、
田舎から上京し、短大の卒業を
間近に控えた、いわゆる普通
の20歳の女の子。
東京には何でもあって、きっと特別な何かになれるのではないかと
夢みて、30社以上の面接を受けるも、未だに内定はない。銀行の残高は980円。
このままでは、田舎に帰って普通のおばさんになってしまう・・・と葛藤して
いたそんなある日、以前、一度だけ働いたことがある派遣事務所から、「地域
の町おこしの一環で国王をやってほしい」との依頼がある。
よくわからないが軽い気持ちで依頼先の間野山市に向かうこ
とにした。一時的に日本中でブームになるも、バブル崩壊に合わせて今
ではほとんど見ることの無くなったミニ独立国。間野山市は、今なお
ミニ独立国を続けている、廃れた残念観光地だった。
そんなこんなで、由乃の”普通じゃない”お仕事生活がはじまった。

サクラクエスト(公式サイト


今作はいわゆるお仕事系アニメだ。ある職場で働く女の子たちの日常とそれぞれの成長に焦点を当てた作品となっている。
今作では「町おこし」「観光協会」の取り組みがテーマになっている。
同じ制作元が同じ様なお仕事アニメとして制作していたSHIROBAKO「アニメ制作」がテーマになっていて、アニメ制作の輝いている部分も大変な部分もよく描写されていて、アニメ制作の現場の多忙さがそのまま作中の進行テンポに反映されてサクサクと続きが気なって内容も充実してためになるし、主人公である「みゃーもり」の成長も楽しめるし、高校時代の後輩である「ディーゼルさん」はテラ可愛いしこれはとんでもなくモンスター級に楽しい作品だった。


それなのでSHIROBAKOを視聴していた人が同じ様な作品として今作を見るととてもがっかりしてしまうかもしれない。実際に周りではその様な理由で視聴を止めてしまう人が後を絶たなかった。
だが今作は同じ「お仕事」がテーマである一方で扱うテーマも登場人物の性格設定も異なりそれが作品のテンポに影響していてスロースターターで一話毎で言えばSHIROBAKOのあの絶え間ない感動的とまで言える「楽しさ」をえることはないが全体を通して見れば『こういうことだったのか…』「納得できる」作品に仕上がっていることが確認できるひじょーに落ち着いた作品だったのだ。
だからもし視聴を止めてしまった人がいればもう一度チャンスを与えてみてほしい。きっと最後まで見れば「ピンクのみゃーもり」こと木春由乃さんが成長してそして間野山も自分たちの魅力を再発見してそして新たに踏み出していくという『綺麗な』結末を見て充分な満足感を得られるだろうし納得もできる。そして気づくのだ。「今作はSHIROBAKOとは違う」そしてそれでよかったのだ。…と。


今作でもSHIROBAKO同様に多くの人たちが主人公を含む主要な登場人物と絡んでくる。それらの人々はやはりそれぞれ個性もあるしリアルな様々な事情を抱えていたり性格をしていたりと味がある。そして今作では主人公となる「ピンクのみゃーもり」こと木春由乃の他に4人の戦士が登場する。

  • 国王である木春由乃
  • 取り持ち大臣(即辞任)である四ノ宮 しおり
  • UMA大臣である織部 凛々子
  • ガテン大臣である緑川 真希
  • IT大臣である香月 早苗

それぞれが人生のどこかで躓いていたり壁を感じていたりとしているのだが間野山を盛り上げるための活動をするに当たって様々な課題にぶち当たってそれを解決する過程で各々が成長していく。
今作の特徴としては1年を通してこれら5人の絆は深いものとなるのだがけっきょく皆がそれぞれ違う道を歩むことになるところだ。この手の流れでは「それじゃあ皆で頑張っていこー!」な流れになることが多いのだが今回はバラバラになってしまう。
私はこのラストにすこし寂しさを感じる一方で「これでよかった」とも思っている。きっとこれから視聴する人にもそう思ってもらえると信じている。


また、「町おこし」の仕事を取り扱うアニメになっているが他にもある町おこし系アニメにありがちな派手な演出というか展開はなく、どちらかというと堅実な地味な展開が視聴者を待っている。
華やかさはないものの地味な仕事のなかにも地域の人々とのつながりや「その地域の人々にとって意味のある町おこしって何だろう」という真面目なテーマにも向き合うものとなっていてお仕事ものアニメとしてもしっかり実の詰まったものに仕上がっているのではないだろうか。

やはりSHIROBAKOという比較対象があり、それと比べると見劣りするように感じてしまう本作だが、前述したとおり、さまざまな部分がそもそも異なっていることから別作品として「まったり」そして「じっくり」楽しむアニメとして最近では珍しいテンポも味わうことのできるアニメとして万人に今作の視聴をおすすめして行きたい。

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